無線LANのアクセス制御方式(平成29年春期 午後問4)

 無線LANではフレームを使用してデータを送信する。フレームにはデータフレームやACKフレームがあり、データはデータフレームに格納して送信する。データフレームには、フレームの制御情報とTCP/IPパケットが含まれる。一つのデータフレームに格納できるデータ長には上限があり、上限を超えるデータを送信したい時には、データを複数のデータフレームに分けて送信する。無線LANでは、複数の機器から送信されるフレームがなるべく衝突しないように工夫して、フレームを送信する。

 

  1. データフレームを送信しようとする機器は,送信前に他の機器がフレームを送信しているかどうかを調べる。
  2. 他の機器がフレームを送信していれば,そのフレームの送信が終了するまで待機する。
  3. 他の機器がフレームを送信していなければ,W1だけ待機する。
  4. W1の間に,他の機器がフレームの送信を開始しなければ,データフレームを送信し,受信側機器からのACKフレームの到着を待つ。
  5. W1の間に,他の機器がフレームの送信を開始したときは,(2)に戻る。
  6. データフレームを受信した機器は,データフレームを受信後,W2だけ待機した後,ACKフレームを送信する。
  • 複数のデータフレームを送信する必要があるときは,(1)~(6)を繰り返す。

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基本情報技術者過去問題 平成29年春期 午後問4) 

 

 

 代表的なLANのアクセス制御方式には、有線LANで使用されているCSMA/CD方式と無線LANで採用されているCSMA/CA方式があります。

  CSMS/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)方式では、同じ伝送路を使用する他のノードが送信中でないことを確認するとすぐに送信を開始し、送信が完了する前にフレームの衝突を送信側が検出(Collision Detection)すると、一定の手順を経て再送します。

 しかし、無線LANでは衝突の検知が難しいため、CSMA/CA(Collison Avoidance :衝突回避)方式が使われます。CSMA/CA方式では、無線チャネル(伝送路)の使用状況を確認(Carrier Sense)し、伝送路が未使用であれば、ノードごとに異なる通信待機時間(乱数で決定)だけ待ってから送信を開始します。待機中に別のノードが送信を開始してしまうと、送信を開始したノード以外は待機状態に戻り、再び伝送路が未使用になると、残りの通信待機時間(送信できなかったノードは徐々に短くなる)がて供されます。

 このような仕組みで、フレームの衝突をできるだけ回避し、いつまでも送信できないノードが発生するのを防ぎます。なお、フレームが正しく送られたかどうかは、受信側からACK(Acknowledge: 肯定応答)フレームが返ってくるかどうかで判断します。ACKフレームが返ってこない場合は、送信に失敗したものとして再送信されます。

令和02-03年 基本情報技術者 試験によくでる問題集【午後】 p206

 

 

3台の機器A、B及びCがある場合について考える。

機器Bを機器Cから離すことによって機器Bと機器Cの間の物理層の通信速度が遅くなった場合、機器Aは機器Bによるフレーム送信が終了するまで待機する時間が長くなるため、機器Aから機器Cへのデータの送信速度は遅くなる。

図の(3)W1待機時間は他の機器が通信している場合に発生する。データフレームの個数は変化しないため、W1の待機回数は以前と変わらない。

また本問では「無線LAN物理層の通信速度は、危機感の距離や障害物の有無によって変化する」とあり、機器B~Cの物理層の通信速度の低下は、機器A~Cの物理層の通信速度への影響要因ではない。

また、最大フレーム長が固定値であるため、伝送速度が変化してもやり取りされるフレームの個数は変わらない。したがって送信データ量も変化しない。