世界的インフレで起きていること(テーパリングとマイナス金利)
今起きていること
世界的なインフレ(物価が上がっている。アメリカではインフレ率が5-6%)が起きており、各国でテーパリング(量的緩和の縮小)が実施されている。
そもそも金融緩和とは?テーパリングとは?
中央銀行が証券会社などの金融機関から国債の買い入れを行い、市場を潤沢にさせるのが金融緩和。一方、テーパリングでは国債の定期的な買い入れ額を徐々に少なくすることで金融の引き締めを行う。
海外の中央銀行の動向
米連邦公開市場委員会(FOMC)にてテーパリングを加速することを表明。年内に利上げを3回程度実施予定。
FRBは金利を上げ下げしたり、マネーの供給量を調節したりすることで、雇用の最大化と物価の安定という使命の達成を目指す。FRBの金融政策の方針を決定する会合が、米連邦公開市場委員会(FOMC)。
政策金利0.25%利上げを実施。
- 欧州中央銀行(ECB)
テーパリング開始。
統一通貨ユーロ導入に伴い、ユーロ圏の金融政策は各国の中央銀行に代わってECBの政策理事会が決定し、各国の中央銀行はその指図にしたがって金融調節を行います。ECBの行う金融政策は、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)同様、世界的に注目度の高いものとなっています。
日銀はどうなる?
やや引き締め傾向。日銀はコロナ前(アベノミクス)から大幅な金融緩和を行っており、コロナ禍においても追加で特別に金融緩和処置をとっているものの、徐々に特別預金制度や買付額の見直しが進められている。
▼特別当座預金制度の見直し
日銀が特別当座預金制度を見直し | 2021年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI)
▼2022年1月18日、日銀はETFとJ-REITの追加購入を見送り
日銀、18日のETFとJ―REITの購入はなし | ロイター
三菱UFJ銀行が日銀に預けている当座預金について一部にマイナス金利を適用することを発表した。企業の余剰資金増加や政府による家計への給付金などで、円預金が貸し出しを上回るスピードで増加したという。
大手銀行にマイナス金利が適用されるのはほぼ6年ぶりで、三菱UFJ銀の21年12月中旬から22年1月中旬までの当座預金が適用条件に触れたとみられると報じていた。
三菱UFJ銀が日銀に預けている当座預金、一部にマイナス金利(Bloomberg) - Yahoo!ニュース
これまでは、銀行に預金すると利子がついて増えていくというのが普通でしたが、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」(以下マイナス金利政策)の場合、逆に利子分を銀行へ支払わなければならなくなります。
しかし、この「マイナス金利」の話は、あくまで日本銀行と民間金融機関との話であり、我々の預金に付く利子とは直接関係はありません。よって、今回のマイナス金利政策で、すぐに我々が銀行にお金を支払うようになるということではありません。
これまでとは違い、超過準備預金があると逆に金利を支払うことになるため、金融機関はお金を使おうという動きになります。
つまり、マイナス金利の導入により超過準備預金を解消し、その分を企業や個人への融資に回させようというのが一つ目の狙いです。市中により多くの資金を流すことで企業の設備投資や賃上げを後押し、景気の刺激になるものと期待されています。
もう一つの狙いは、マイナス金利を導入することで金利低下圧力を強め、金利全般の低下を促すのが狙いです。他の全ての金利に影響を与える金利の大本がマイナスということになれば、銀行に預けるより使おうという意思が働きやすくなり、市中に資金を流入させる効果があると考えられます。
しかし、低金利になり利ザヤが縮小となれば儲けは少なくなります。そこで金利は低くリスクは高いままの「融資」にお金を簡単に回すかという疑問もあります。逆に、融資審査がより慎重になってしまうことも考えられます。
市中にお金を回す方法
日銀が国債を購入すれば世の中にお金は回るのか?というとそうでもない。
日銀が買いとったお金は銀行の口座預金に入るだけで、直接一般市民にはお金が回ってこないからだ。
通貨は流通している場所によってマネタリーベースとマネーストックに分けられる。
マネタリーベースは「日銀が供給する通貨の総量」を指す。
具体的には、市中に出回っている流通現金(日本 銀行券発行高と貨幣流通高、つまりお札と硬貨)と、日銀当座預金(民間銀行が日銀に保有している当座 預金)の合計値だ。
一方、マネーストックとは、「日銀を含む金融部門全体が供給する通貨の総量」。
具体的には、企業や家計などの経済主体が保有する現金や預金の残高を指す。
マネーストックのマネタリーベースに対する比率を「信用乗数」といい、これらの関係を「マネーストック=信用乗数×マネタリーベース」という式で表すことができる。
この式を踏まえ「日銀がマネタリーベースを増やせば、その信用乗数倍マネーストックが増える」、すなわち「日銀が銀行に対し資金供給を増やせば、銀行から企業への融資 も増える」という考え方がある。
しかしながら、実際はマネタリーベースが急増しても信用乗数が低下し、マネーストックはそれほど増えなかった。
https://www.smd-am.co.jp/market/ichikawa/2018/05/irepo180511.pdf
一方で10万円を給付したことでマネタリーベースとストックベースの増加率が改善されている。